は如何に?

mosshaven2008-01-13



というのが 主人の長年の課題。


木材に限らず 多くの原料が生産された其の国で製作にかかわることなく
賃金の安い 中国などへ流れ、そして 比較にならない安い値段の
大量製作品(最近は 質も向上)として 帰ってくる。  カナダでは 
安物とわかりつつ、或いは 値段の大差により それらの商品を
買っていく人が多い。



カナダB C 州の 大きな資源のひとつ、木材は 重要な財源としても歴史
がある、にもかかわらず 現在は その資源が大きな利益を生み出す
ことなく、原木の姿をさらしたまま 巨大なトラックに詰まれて 
港へ港へと 日に何十台も運送される。


当然それに伴って 製材所、特に このヴァンクーヴァー島には 大きな
製材所が 森林に近い水辺の近辺にあり、雇用を満たし、町を潤わせて
いたが 自然環境問題なども含め、一挙に何百人、或いは何千人という
解雇にせまられ、現在は 閉鎖してしまったか 或いは 厳しい現状と
なっている。
昨今の為替レートや ビジネス対応の 急激変化、グローバル化などで 
企業が大きければ大きいほど そのリスクも大きいに違いない。 



ぼんやりと日常を家で過ごしている私には 想像も理解もし得ない 
新しい情報や知識が飛び交い、世界は狭く、スピーディーに変わりつつ
あるようだ。



こんな世界で 長いこと 収入にかかわることなく、生活も省みず(と
いう処を私は強調)自分で勉強しながら、人と会いながら抱え続けてきた 
彼のプロジェクトのスタートとして 培ってきた情報源である各専門家に
集って講義をしていただく機会が持てた。


まず 市長のあいさつからはじまり、
過去BC州最大の木材会社であった マックミランの経済顧問でもあり、
大企業のアドバイサーとして 世界中をまわっておられる 大学教授の
きびしくも 適切な あらゆる面からの進言、 


LVLの(Laminated Veneer Lumber − 大きな木を使わず、小さな材木
をはいで表面積を広げ、それらを圧縮して貼り、ベニヤとする)実施企業家
フインランド等のヨーロッパをはじめ、世界中の製材所(日本も含む)での 
LVL実施の指導に当たる。 すでに実施している製材所での写真や 
コンピューターで作られた作成法の図面などで説明。



Modification(樹そのものでありながら それらの持つ 特徴を 科学的に
変えて安定性、耐火性を加え 耐久力もあり腐敗も防いだりしてゆく技術)
専門の教授で大学院専門を教えておられるとのことで 難しそうと思って
いたら とてもお若くて物静か、かつわかりやすくご説明。  
つくばに何度もおいでになるとの事で 技術の進歩しているヨーロッパを
はじめ 日本の 木材技術の写真も多く 神社仏閣、楽器のヤマハをはじめ 
建築、風呂、キッチン、家具など、あらためて 木 に対する日本の
こまやかで深い姿勢に うれしさを覚える。



Bio Mass/Refinery(樹を伐採したあとの残骸?を エスノー、日本では 
エタノール?という有意義な 物質や 様々に価値のある自然科学製品に
精製する。)この残骸は 以前は 良く燃やされて 二酸化炭素を発生、
公害のもとでもあったのに でもこんな活用がある、とは、こんな科学の
発見も もとはといえば 自然のなかから。 学んでゆけば (自然から)
学ばされるこの事実は重い。 この分野では トップのひとりとして
世界でも認められている学者でありながら 少し気難しいとお聞きして
いたが この機会を喜んで下さり この土地は初めてなのに 雪の中
ドライブしてお見えになる。 前日までお風邪というのに 1時間余り
立ちっぱなしで 80歳あまりの方が 年号から 重さから値段まで 
何一つ メモもなし。(というか むしろ 講義の内容に驚くべき
ところだが 英語と専門知識にはお手上げ、、)



Derivatives(樹に含まれるいろいろな成分を抽出する)たとえば 
レッドシーダーには ヒノキチオールという医学的に重要な働きをする
成分をはじめ 各種の価値ある科学成分にわけて誘導、抽出することが
できる事の証明者であり研究者。
又 レッドシーダーの葉を スティームで抽出すると 香水を作る
成分がとれたりするので この 抽出油は ハーブなどと同様に 
室内や犬小屋などに スプレー、又 クリスマスには ツリーに
スプレーすれば 森林の香りがひろがる。(これは私の知識レベル、
レクチャーは 専門語続出で科学成分のお話)


これら、木材に関する企業をはじめる場合、大きな企業のマネージメントの
経験者のアドバイスも重要。  この方は 以前首相の経済アドバイザーでも
あったが 仕事に賭ける情熱は この日のために 数十枚の資料やデータを
用意、2時間近くのレクチャーで充分証明された。



森林に関する 世界レベルの サーテイフィケートの説明。何度も繰り返された
ことは ”決して簡単ではない”ということ。 専門の知識、認可、耐えざる
努力を必要とされる。


大企業に必ず出てくる問題、ユニオンの専門家、こちらの労働組合は 
6ヶ月以上のストライキもまれでは無く、この労組のために企業が閉鎖と
いうことは よくあることで、この事項も 無視しては進めない要素のひとつ。
 


無視されると ご不満なのは 我が家のビーグル。
この2日間 ランチと夕飯のあいまに 一寸外へ出してもらっただけのナナ、
もう元気一杯なので このうらみは、、、いつか?


そして 最後は これも 特に木材、森林では必ず忘れてはならない事項、
First Nation, 2区のリーダーが出席、一人は 彼らの樹の歴史にまつわる
話、もう一人は彼らの地区の森林のデータに関する情報。 同じカナダ人で
ありながら 考え方は違うところが多いし、一般的に 白人に関しては 
過去の虐待などから 100%の信頼はまだ得られていないようだが 
現在は 政府からの基金も多く、政府の力の届かない 大きな森林資源の
所有者でもある。



会議のおこなわれた ホテル
これらのスピーカーの話の合間に この地にある 大きな パルプ工場や 
製材所を全員バスで見学、そして 夕食後は ディスカッション。


  
ビールを片手に 立ったまま議論白熱、皆 なかなか帰ろうとせず、
果てしが無い。 森林局に勤める政府の女性も熱心。  カナダの
全国紙(トロント本社)の記者は この会議を聞き ヴァンクーヴァーから
飛行機で駆けつけてくれた。 小柄の可愛い女性、知り合いが多いらしく 
いろいろ話をしていたと思ったのに 会議の2日目の朝には 新聞2枚に
わたって 記事が出ていて その速さと内容に 一流紙の切れ者とは
こういうこと、なのかと驚かされる。



この新聞に ポートアルバー二が のるなんて多分 何十年らい?、しかも
一枚目、、なのに。  でも肝心の この土地では 地元新聞のスポーツの
影に小さく、というところ、そして 反応も、、 ということは この土地での
ビジネスがいかに難しいかということなのかもしれない。



終わった翌日には既に 各専門の方々から 将来も支持する旨のメールが
とどいているが 地元では 何もおこらず。


]
プロジェクトはこれからが 長い、そして 消されてしまう運命かもしれないが
どうにかよい方向、そして 正しい方向へと導かれることを 彼のために願うのみ
勿論 ともに生活する身としては 一日も速い結果が出てほしいのだが
自分のことだけ、をいうのは 今は一寸気が引ける。  お手伝いしたからと
彼のグループからいただいたお花でも 飾ってつかの間の喜びを味わうとしよう。